村上さん

日本から送ってもらった「サラダ好きのライオン」を読み終えた。
村上さんはこの手のエッセイに同じ話題を繰り返し書いてしまうらしいんだけど、私もそんな内容について詳しく覚えちゃいないので、今まで「またですか」なんて思ったことはなかった。
けど、最近読んだ「村上朝日堂〜」で書いていた映画についてまた出てきたので、覚え書き。
ウディ・アレンの「アニー・ホール」という映画のことだった。「人生はhorribleかmiserableだ」っていう言葉。「人生はひどいか悲惨であるか」。確か「村上朝日堂〜」では違う言葉に訳されていたと思うんだよな。でもめんどうだからまた本棚からその本をひっぱり出してきてその項を探したりしない。とりあえず日本に帰ったらこの映画見ようと思う。


ついでに。
回転木馬のデッド・ヒート」を軽いと前に書いたけど、なんていうか軽いっていうのも違う気がして少し。
これは、村上春樹が書きとめておいた、実際にあったちょっと奇妙な話をちょうど良い機会だからまとめて発表します、という建前の本です。まえがきにそうありますね。
ただ、もちろんそれはただの体裁であって、物語は全て創作です。(「翻訳教室2」か何かでご本人がそう言ってます。)これはリアリズムの文体の習作なのだという。だから、他人が物語った話をそのまま忠実にフィクション風に書き起こした体。これを経て「ノルウェイの森」というリアリズムの文体での小説を書き上げたそうです。が、まあその話は置いといて。
読んでみるとわかると思うんですが、これは全ての物語の底に流れている共通のテーマがきちんとある短編集なのです。だから、本としてまとまっているんでした。そのテーマは決して軽いものではない。だから「軽い」と自分が言ってしまったのがちょっと気になっていたのでした。

初めて読んだときは「フーンおもしろーい」ていう感じでしたけどね。
村上さんはそういうコンセプチュアルな本を書くのが得意ですよね。縛りっていうかね。やりたい事をはっきり決めて、さらにその中で良いものを仕上げるっていうのが上手にできる人ってやっぱりすごいと思います。