あのオチ

気が向いたので昔書いたのを掲載します。
2年前なのでちょっと恥ずかしい。
内容が中2。




白い校舎。
マットな、とてもさわやかな白。帆布とかそういう。
私はそこに通っていた。
青空によく映えるその校舎は、切り立った崖の上に建っている。
ほんとうに崖ギリギリのところ。
崖の下は海だ。海面まで20メートルぐらい。
そこで私たちは何とタイムスリップをする。
その能力を養成する学校なのだ。
海に面した壁をすり抜けると、そこは過去だった。
未来へは行けない。必ず過去と決まっていた。
そして、当然だけど、過去に影響を及ぼして現在を変えてしまう事は厳禁。
たとえばジョン・レノンを凶弾から救う、とか。(これは先生が実際に出したたとえ。)


自分にとっての現在に戻ってきても、旅立った瞬間に戻るわけではない。
ちゃんと過去で過ごしたのと同じだけ時間は経過している。
だからちゃんと決められた時間に戻ってこなければならない。
過去に居ついてしまう事なんてまずない。
学校が終わればみんな家に帰るのだし。
なので私たちは本当に「実習」という感覚でそれを行う。とてもまじめに。
毎回きちんとレポートを書く。
けれどそれが心躍る体験なのは間違いなく、その白い教室には笑顔ばかりあった。


タイムスリップに失敗すると、そのまま壁を抜けて崖の下の海に落ちた。
私も何度か落ちた。
落ちる時、白い校舎と、青い空と、太陽が眩しかった。
他の何人かとバラバラと海に落ちて笑い合った。


一番仲の良かった友達は優秀で、失敗なんてたぶん一度もしなかったと思う。
いつもどの過去に行っているのか教えてくれなかったけど。
学校では大の仲良しなのに、授業の後にどこかに寄って遊ぶ事も休日に会う事もせず、
家も知らなかった。
でもぜんぜん不自然だと思わなかった。
二人の友情には一部の陰りもなかった。
最高だった。楽しかった。


本当は、実は、私はちょっとその男の子が好きだった気がする。
だから卒業式の日にその子に「実は自分は未来から来てました」と告げられて
私がその日の夕方、交差点で一人の子供を助けて代わりに死に、
その助かった子供が目の前のその友達だと知ったとき
泣けばいいのか笑えばいいのか、というより天地もわからないぐらい、ひどく混乱したのだった。


そうか、いつも私たちが過去に旅立っている中、この子は一人で未来へ帰っていたんだ。


卒業して会えなくなるどころじゃない。
もう二度と会えないんですか、いや、むしろ私今日死ぬんですか。
その子の時代でだって、その日死ぬ人に「あなたは今日死ぬんです」なんて言うのは禁止のはずなのに、
なんでそれをわざわざ言うの?と訊けば
「3年間一緒に過ごしてどんな人だかわかった。楽しかったしもうなんか十分だし」
だから今日、子供を助けなくていいよ、って。
今日は送るから無事に家まで帰ってください、って。



私、それで大泣きして、目が覚めた。



そんな夢をみたのでした。(2008.2.9)


夢オチ。